運命の神を表す英単語は fate というが、この単語はまた、悲劇的な運命や宿命を指す語でもある。
”定められた人生”を語る話群は、本来重くるしく因縁めいて、悲劇的なものだった。どんな偉大な王も勇者も、神でさえ、その決定には逆らえない。だが、一方では愛や勇気や信心やワイロが運命を覆し、定めの神々を追い払う。
逃れようとしても決して逃れられない運命や因果について語る話群。
- {運命の提示}
- 子供が生まれた晩、神々が現れて問答し、その子供の寿命を定める
- 子供の母親・産婆が枕元でそれを聞く
- 子供の父親が出先でそれを聞く
- 第三者の旅人がそれを聞く(この旅人がB.の「占い師」の役になることもある)
- 占い師が寿命の予言をする
- {運命の回避努力}この段が欠けている話も多い
- 親は、子供をその予言された死の原因となるものから遠ざけようとする。または立ち向かうべく鍛える
- 本人が、予言された死の原因を避けようとする。または立ち向かう
- {運命の成就}定められたとおりに被予言者は死ぬ
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- 刃物による事故死
- 動物に刃物で立ち向かい、誤って自分を傷つけて死ぬ
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- 溺死(事故死、自殺)
- 水滴や水溜り、容器の中の僅かな水で死ぬ
- 水の絵や字の書いてある道具のせいで死ぬ
- 水の側で倒れて死ぬ
- 水の魔物に殺される
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- 思いがけないところに隠れていた獣に殺される
- 獣をかたどった像のせいで死ぬ
- 獣の像・ロウソクなどが本物に変化し、殺される
- 花や女性が獣に変身し、殺される
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- {運命の提示}
- ある男の将来の結婚相手が予言される。それはまだ子供である
- ある男児が生まれたとき、その子は(父を殺し)母と結婚すると予言される
- {運命の回避努力}
- その結婚を回避するべく、女児を殺そうとする。女児の顔には傷跡がつく
- 両親は男児の足などに傷をつけ、水か山に捨てる
- {運命の成就}
- 男は後に結婚するが、後に、妻があの女児の成長した姿であったことが判明する。夫婦は末永く共に暮らす
- 男児は成長して旅に出、知らずに(父を殺し)母と結婚する。後に真実が明かされ、夫婦は断絶し、死んだり盲目になったりする
- {運命の提示}王が、ある赤ん坊が将来自分を殺す(地位を奪う)、という予言を受ける
- {運命の回避努力}王は赤ん坊または成長した青年を殺そうとするが、失敗する
- {運命の成就}予言どおり王は殺され、青年が新たな王になる
中世ヨーロッパの文学や伝説に多く見られるものだそうだ。
- {運命の提示}若者が、いつか自分が両親を殺すという予言を受ける
- {運命の回避努力}若者は家を出る。妻を得て幸せに暮らす
- {運命の成就}若者の留守中に、両親が息子を探して訪ねてくる。妻は夫の両親を迎えて、ベッドに休ませ、自分は外出する。若者は帰ってきて、ベッドに男女が寝ているのを見て、てっきり妻が浮気をしているものと思い、剣で刺し殺す。そこに妻が帰ってきて、若者は自分が誰を殺したかを知り、嘆く
- {運命の提示}金持ちが、ある子供が自分の跡継ぎになる、と予言されたのを知る
- {運命の回避努力}
- 金持ちは赤ん坊を水に捨てる→子供は拾われて若者に成長する
- 金持ちは若者に「これを届けた者を殺せ」と書いた手紙を届けさせる→第三者によって手紙が「これを届けた者と娘を結婚させろ」という内容に摩り替えられ、若者は金持ちの娘と結婚する【ウリアの手紙、または沼神の手紙】
- 部下を使って直接殺害しようとする、または難題を課して危険な旅に出す→金持ちの息子、または金持ち本人が命を落とす
- {運命の成就}若者は金持ちの跡継ぎになる
産神が、産まれた男の子と女の子の運を定める。男は大した運を持たないが、女は素晴らしい運を持ち、女と結婚すれば男も富み栄えるだろう、と。それを聞いた親は子供たちを結婚させ、夫婦は幸せに暮らす。
しかし、やがて男は妻と離縁する。その後 妻は再婚して幸せになるが、前の夫が落ちぶれているのに遭遇し、哀れんで施しをする。
このモチーフは、[かまど神縁起]や[炭焼長者・再婚型]系の話群にも含まれている。